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黒髪の乙女、いずこに行きたまいしや

先日『夜は短し歩けよ乙女』の映画版観に行きました。

その機に原作小説読み返して、劇場版特典冊子読んで、放送直前SPも観て、コラボしてるバーにも行ったので、そこら辺つらつら。


以下、映画のネタバレ、小説のネタバレ、賛否両論の感想を述べてゆきます。注意!



◯原作小説


いわゆる京大モノです。

実在の地名や、おそらく京大生にとってのあるある小ネタに溢れた小説。

万城目学の『鴨川ホルモー』や、瀧羽麻子の『左京区七夕通り東入ル』とかも京大モノとして私は読んでます。

左京区〜』は京大モノなのか微妙ですが、個人的にめっちゃ好きな小説なので便乗して紹介します。


あとキャラクターがとても良い。

黒髪の乙女の、少しズレていながら真っ直ぐな可愛らしさ。

先輩の、拗らせた自意識と、だけど乙女にはがんばりたいと思っているいじらしさ。

東堂さん、羽貫さん、樋口さん、李白さん、古本屋の神様、事務局長、パンツ総番長、その他モリミーワールドと呼ばれるらしい、ちょっと浮世離れした世界観を構成する人々たち。

ピ●ゴラスイッチを思わせる、個性と行動が噛み合って起きるトンチンカンな、面白おかしい出来事。


でもって忘れてはならない、クドさにクドさを重ねて捻くれさせたような冗長な文体。

言い回しがもったいぶってて、特に先輩の視点の時には先輩の素直じゃなさとも相まってほんとに! 「こんな男子いそうってか私が男子だったらこんなんだろうなーうわーやめてくれー」ってなりますね。

好きです。


◯映画について


わくわくしながら、公開初日に行きました。


……。


原作と対比しながら観たので、こう、原作厨としては、思うところが多くありますね。


なんで一夜にしちゃったん?

放送直前SPにて「夜は短し〜なので、一晩にしてしまおうと」って発言がありましたが、一年のお話を一晩に押し込めてるので、かなりストーリーがめちゃめちゃになってる印象。

ナカメ作戦にしたって、あれは、春の夜歩き後の出会いや、また夏の古本市があってからのナカメ作戦があり、その積み重ねがあったから、功を奏して、劇の最後に抱きしめられた安心感とか、ドキッとか、そういうものがあったわけでしょう。


それが、事前にナカメ作戦を展開していたみたいなフリがあったとしても、彼女からの好感度の上がり方はなんかこう、違和感。

何せ先輩へのその晩初めての印象は、下半身丸出しで降ってくるような(おともだちパンチを食らっても致し方ない)変態さんだったわけで。

それへのフォローが無いまんま、その数時間後に、またしても(乙女からすれば突然)突然現れた先輩に抱きしめられても、逆効果ですよ。怖いって。


そもそもが、原作だとズボンやパンツ取られても、すぐ東堂さんが代わりをくれて、先輩の危機は脱されていたのに、何故長時間にわたるセクハラを受けねばならなかったのか。

『夜は短し〜』映画ぜんたいに、わりと先輩へのセクハラ酷くないですか。コーンアイスとか。


あと伏線の張り方っていうか、先輩の動機となる情報の出し方が雑い。原作がそれこそ複雑怪奇なパズルのように組み合わされて隠されて与えられていた情報が、映画だと(尺とかもあるのだろうけど)直前に事務局長とかがポイポイっと投げてハイおしまい。ほんま雑。


色々カットされるのは仕方ないけれど、(「古今和歌集だぞ!」「コキンワカシュウ? そんなの知らん!」とか観たかったな……)その割に追加されたシーンが謎。ていうか先輩の出番がゴリっと削られてません? 本が一本の糸で結べる〜のシーンとか、先輩の場面だったのに乙女のシーンに変えられてしまっていたし。

あれは、読書に無知な先輩が聞くから良いんだよう! 乙女はそこそこ本に造詣が深いわけで、本が繋がっているのだって、こう、ね!?


タイトルが「夜は短し歩けよ乙女」だから、乙女にフューチャーしたんですよ、と言われてしまえばそこまでだけど、そこまで! だけど! そこまでですね……。


書影がバラバラ流れていくシーンは楽しかった。こういうところの映像表現は好き。

個人的にツボだったのが原作で川原泉と告げられていたその書影が、『笑う大天使

時代……! いやまぁ萩尾望都とか川原泉とか並んでるラインナップがもうそれなんですが、乙女の年頃的には……うーん、『〜がある』シリーズはやはり『笑う大天使』に知名度で劣るかなぁ。うーん。

ナルニア物語とかの、有名児童文学はいつの時代だって読まれるものです。普通に重い外国語文学も同列で並んでいたことを思うと、乙女はかなりの読書家らしいですね。好き)


あ、追加シーンでも「ラ・タ・タ・タム屋」は良かった。逆さ箒立てる先輩かわいい。

あとはあれですね、時計。詭弁部OBさんの干支時計がめっちゃ可愛かった。



逆に改変だとパンツ総番長がこの……純愛やん? 原作だとめっちゃ純愛やん? それなのに、ただ頭に何かがぶつかればフォーリンラブしちゃうような軽い男になってしまった(特番で、森見さんの案だったけど小説ではカットされた思い付きを、映画版ではやってみました、と言ってはったけど、それだったらそれで、パンツ総番長の純愛へのフォローが欲しかった)のはちょっと……。


それはそれとして、歌う神谷浩史はうまかった。普段の事務局長の声と、女装男子の歌声との使い分け、さすが神谷浩史

黒子のバスケextra gameでは、俺司僕司覚醒司の三種の演じ分けをしてはります。観てください)


ロバート秋山さんの、「普段コントとかでキャラクターは演じますが、それは表情とか使える。けど今回は声だけだったので難しかった。声優って凄いですね」みたいなコメントで好感度あがった。(チョロ)


星野源の先輩も、聞いてて突っかかるところとか無く、凄い先輩っぽい先輩だったので安心しました。


花澤さんの乙女も、可愛かったですね……キャスティングはハマリ役だったと思います(上から目線)



樋口師匠と羽貫さんは、四畳半神話大系と同キャスティングらしく(夜は短し〜を観た時には四畳半神話大系未履修でした。その後特設サイトで観ました)

中井和哉はズルい。中井和哉は……ズルい……。


ズルいと言えばジョニーもですけどね! いやぶっちゃけ四畳半神話大系アニメ版未履修の人間からすれば最後の脳内会議のジョニーなんのこっちゃでしたけどね! 唐突に現れた謎のカウボーイ??? What's??? でも檜山さんだ???  えっめちゃめちゃ好きだけどどういうこと??? 今何が? 何が? 起きてるの??? 状態でした。最後のスタッフロールで


ジョニー 檜山修之


って出てきて「そうか。ところでジョニーって夜は短し〜に出てきたっけ? 優しくないぞ」の気分(確認したら、単行本版p237l1に「ジョニーを宥め」の記述を発見)(ジョニーお前出世したな……)




バーに行った話がわりと本命だったんですがなんかもう長くなったから一旦切ります。特典冊子は普通に読みましたし面白かったしリア充末永か爆発しろ! と思いました。



さいごに

「おともだちパンチ」の伝授者を姉から母にしてしまったのは何故?