あの子は髪を切ってしまった

あの子が髪を切ってしまった。わたしはあの子が好きだった。
長い髪が、可愛くあろうと努力する姿勢が、そして自分の「可愛さ」を誇るすがたが、とても、とても、大好きだった。
だけどあの子は髪を切った。その身から可愛い衣装を脱ぎ捨てた。わたしはその事実が、まだ、受け入れられずにいる。

※このブログには、アイ★チュウメインストーリー二部labyrinth21章「堕ちた女王」〜23章「小さな革命」のネタバレを多分に含みます。
また、好意的な内容ではありません。

はい。書き始めのポエティック溢れるうんたらでお分かりかと思いますが、メインストーリーめっちゃくちゃ辛かったのでチラ裏ではないですがどっかに書かないとやってらんねぇ……! ってなったのでここに書きます。

まず、華房心ちゃん(15)がどんな売られ方をしてきたか、どういった層にマーケティングされてきたか。です。
あの子の宣伝文句は「猫被りの紅一点? 男の娘アイチュウ!」
これもね、神楽坂ルナ様と及川桃助が加入してからも修正入らなくて首を傾げてた部分だけどまぁ今回は主軸じゃないのでいいです。
あの子が一人でユニットだった時から、ずっと、可愛い男の娘として、あの子は売られてた。あの子自身もそういう売られ方を理解して、そのために自分自身を磨いてきた。
「心ちゃんは可愛いんだから」「可愛くあるために努力しなきゃ」って。
そしてプロデューサーも、そういう姿勢を尊重してきたと思ってたんですよわたしは。

 はい、ここからメインストーリーのネタバレに入ります。はい。
まず、心ちゃんは、そもそも「男の娘」として売ってきたわけでしょう? なんで男の格好が流出してそこまでスキャンダルになるのん? おかしない? Why? わたしには理解できない。まぁもうこれは、世界の悪意としましょう。
モデルABも、世界の悪意ですよね。15歳の少年に向かって、よくもまぁあんなむき出しの悪意をぶつけられるもんだ。

だけど、だけど、記事はまぁいい。しかたがなかった。けど、パピヨンの依頼は、これ、防げたでしょう。むしろ、焦って無理に仕事持ってきて、負担かけて。プロデューサー何やってるんですか。そういうのから隔離するためのプロデューサーじゃないんですか。
心ちゃんの精神に、より負荷をかけていく方向の選択肢とっちゃだめでしょう。

実際、校長の下した「活動自粛」って、別に悪い手段じゃないと思うんですけどね。まぁ校長は胡散臭いけど。心ちゃんの精神を考えると、休ませてあげるべきだったと思うんですよ。

なのに。
………………。
心ちゃんの、いや、華房心の復活劇「小さな革命」は、一番、なんだこれって思いました。

あれは心ちゃんの、あの子自身の「選択」じゃない。きっとあの子は選べなかった。あの状況で、15歳のあの子が、何を選べたというのか。
世界の悪意に晒されて、休みたいって、逃げたいって疲れた精神状態で。
そこに、信頼しているプロデューサーが持ってきた道。全部何もかもお膳立てされた、外堀も埋められた選択肢。
あたかも自分自身で選び取ったような発言こそしていますが、ねぇ、きっとそれは錯覚だ。

あの子に、他の選択肢なんて選ぶ気力、無かったと思いますよ。そこまで摩耗させられてた。
「この姿も俺だから」「ありのままの俺も受け入れてほしい」
なんてテンプレートな台詞だろう。
あの子は、可愛くあるために、ずっとずっと努力してきたのに。その可愛いって武器を、よりにもよって一番の味方であるプロデューサーが、取り上げてしまった。

男の娘アイチュウ華房心を殺したのは、新聞記者でも、心ないファンでも、モデルABでもなく、プロデューサーだ。
わたしはそう思えて仕方がないのです。

はいはいチラ裏チラ裏。